日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
乾燥沢ワサビ粉末の安定性
小嶋 操浜田 浩山下 美由紀
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1982 年 29 巻 4 号 p. 232-237

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抄録

沢ワサビ根茎を通風乾燥し,この乾燥ワサビ粉末を密閉貯蔵し,貯蔵中の辛味成分をヘッドスペース法によりFig. 3 Changes of Rg value, x value and y value of “Wasabi-ko”検討して次の結果を得た。
(1) 20°および30℃貯蔵では,iso-プロピル,sec-ブチル,n-ブチル,アリルおよび3-ブテニルの各からし油は,貯蔵中にいずれも減少し,とくに30℃では,iso-プロピルからし油は1週間後に,他のからし油は約4週間後に半減した。
(2) 辛味成分生成量が減少した乾燥ワサビ粉末も,ミロシナーゼ活性化剤L-アスコルピン酸を添加すれば,辛味成分生成量は回復した。
ミロシナーゼがほとんど失活した乾燥ワサビ粉末とセイヨウワサビ粉を混合して,“わさび粉”を試製し,これらの辛味成分を検討して次の結果を得た。
(1) 辛味成分と混合成分割合との間には,規則性のある関係曲線が得られた。
(2) Rg値,x値およびy値を算出することにより,“わさび粉”中の両者の混合割合を推定することができる。
本研究の一部は日本食品工業学会第28回大会(1981年4月,於福岡市)で講演した。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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