日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ポリフェノールオキシダーゼ処理によるフラボノイド系天然色素の製造
元田 節士
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1982 年 29 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

Alternaria tenuis A-2株の生産するポリフェノールオキシダーゼによるピーナツ薄皮またはココア豆外皮抽出液の褐変について検討し,これら抽出液よりフラボノイド系天然色素を調製した。収率はピーナツ色素の場合15%,ココア豆色素の場合16.5%であった。得られたフラボノイド系色素は,両者とも水によく溶解し,pHにより色調が変化し,pH 4以下で黄橙色の色調を呈した。熱や光に対しては安定で,加熱により色調が濃くなる傾向を示した。金属イオンに対しては,2価の鉄イオンによってわずかに黒ずんだ色調を呈したが,他の金属イオンによっては影響を受けなかった。ピーナツ色素は薬剤に対して安定であったが,ココア豆色素はアスコルビン酸およびイソアスコルピン酸によってわずかに退色した。しかし,過酸化水素,亜硫酸水素ナトリウム,メタ重亜硫酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウムなどの薬剤によってはほとんど影響を受けなかった。両色素は酸性側で染着性がよかった。両色素とも特に小麦蛋白との親和力が大であった。フラボノイド系色素をドロップ,クッキーおよび水ようかんの着色に用いたところ,色調良好な製品が得られ製菓方面への利用が可能であった。
得られたフラボノイド系色素は,両者とも水によく溶解し,pHにより色調が変化し,pH 4以下で黄橙色の色調を呈した。熱や光に対しては安定で,加熱により色調が濃くなる傾向を示した。金属イオンに対しては,2価の鉄イオンによってわずかに黒ずんだ色調を呈したが,他の金属イオンによっては影響を受けなかった。ピーナツ色素は薬剤に対して安定であったが,ココア豆色素はアスコルビン酸およびイソアスコルピン酸によってわずかに退色した。しかし,過酸化水素,亜硫酸水素ナトリウム,メタ重亜硫酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウムなどの薬剤によってはほとんど影響を受けなかった。両色素は酸性側で染着性がよかった。両色素とも特に小麦蛋白との親和力が大であった。フラボノイド系色素をドロップ,クッキーおよび水ようかんの着色に用いたところ,色調良好な製品が得られ製菓方面への利用が可能であった。

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