日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
水中の微生物に対するオゾンの殺菌作用
内藤 茂三志賀 一三
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1982 年 29 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

オゾンを食品保存に利用することを目的に,Florida Ecology Scales Co.製Ozonigerを用いAspergillussp. 7菌株,Pencillium sp. 6菌株, Saccharomycessp. 4菌株,Shizosaccharomyces sp., Candida sp.,Hansenula sp., Rodotorula sp.各1菌株,Lactobacillussp. 3菌株,Streptococcus sp. 2菌株, Leuconostoc sp.1菌株,Bacillus sp. 6菌株に対する水溶液中でのオゾン殺菌作用を次の条件で検討した。初発菌数106~109/ml,オゾン濃度0.3~0.5mg/l,処理時間5秒~4時間,流量1455ml/min,水温5℃及び20℃。得られた結果は次のとおりである。
(1) 死滅に要する処理時間はAspergillus胞子90~180分,Penicillium属胞子45~60分,酵母類5~10分,酵母類胞子8~10分,乳酸菌15~120秒,Bacillus属胞子180~240分であった。なお酵母類の中でもCan-dida paracreusは60分処理が必要であった。
(2) 低pH,低水温ほどオゾン殺菌効果は増加し,その程度は供試菌株により異った。一応pHの影響を受けやすい菌株(酵母類,酵母類胞子)はオゾンによる死滅率は高く,pHの影響を受けにくい菌株(Bacillus属胞子,Aspergillus属胞子,Penicillium属胞子)は死滅率が低いという傾向がみられた。また低水温におけるオゾン殺菌効果の増加は主として中性からアルカリ性側(pH 7, 9, 11)で顕著に認めた。
(3) オゾン殺菌力は塩化ナトリウム(1~5%)添加により強められ,ショ糖(1~10%)添加により弱められた。
(4) 小麦粉(0.2~1.0%)添加によりカビ類に対するオゾン殺菌力は強められたが,酵母類,Bacillus属胞子に対しては弱められた。
(5) ニンニク粉末添加によりBacillus属胞子に対するオゾン殺菌力は強められたが,カビ類,酵母類に対しては弱められた。

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