日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
チューインガム用天然樹脂の樹脂分について
手塚 七五郎山野 利幸市東 武男
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1980 年 27 巻 9 号 p. 419-425

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抄録

チューインガムに使用される天然樹脂のうち,代表的なチクル,チクブル,ジェルトン,ソルバおよびソルビンハの5種を選定し,これら天然樹脂のアセトン可溶性区分である樹脂分組成の解明と各樹脂間の識別について検討を行った。
(1) 各樹脂分の構成成分はほとんどトリテルペンアルコールのカルボン酸エステルで,主成分は酢酸エステルであり,少量の遊離のトリテルペンアルコールが認められた。
(2) 酢酸エステル以外の各樹脂分の特徴成分はチクルがカプロン酸エステル(C6),チクブルが桂皮酸エステル(C9),ジェルトンがパルミチン酸エステル(C16),ソルバがモンタン酸エステル(C28),ソルビンハがベヘニン酸~ドトリアコンタン酸エステル(C22~C32)であった。
(3) 各樹脂分をケン化し得られたトリテルペンアルコールの主要成分はいずれもα-アミリン, β-アミリン,ルペオールであり,チクルおよびチクブルには数種の未同定の成分があった。
(4) 各樹脂分をガスクロマトグラフィーにより分析し,トリテルペンアルコールのカルボン酸エステルの組成を知ることおよび赤外吸収スペクトルを測定し,縦軸に880cm-1/900cm-1,横軸に810cm-1/820cm-1の吸収強度比をとり,プロットすることにより, 5品種の樹脂を明確に識別することが出来た。

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