1977 年 24 巻 5 号 p. 215-220
モモ缶詰の品質をフレーバーから評価するための前段階として, 6品種の原料を用いてつくった缶詰の香気成分について検討した。香気濃縮物は, lyophilizationを行ない,得られた蒸留液をエーテル抽出して調製した。これをGLC, GC-MS,シリカゲルカラムクロマトグラフィーの方法で分析した。分離された成分は,品種間にほとんど差はなく,約75~80で,そのうち28成分が相対保持時間,マススペクトルから推定あるいは同定された。同定された成分はγC6~γC10, γC12, δC10の各ラクトン, benzaldehyde, heptadecane, benzylalcohol,β-iononeであった。揮発性成分中のこれら全ラクトンの占める割合は31.9~53.2%で,従ってモモ缶詰のフレーバーを評価するのに有用と考えられる。
またAromatic aldehydeについては, PPC上に6個のスポットが得られ,そのうち量的に多いものとしてvanillinが同定された。