日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
リンゴ酵素褐変系の抗酸化能
大村 浩久尊田 民喜浅田 要一郎稲富 良文橘 英文
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1975 年 22 巻 8 号 p. 387-394

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抄録

種々のポリフェノール化合物のリンゴ酵素褐変系についてリノール酸に対する抗酸化能を試験した。
(1) 褐変基質ポリフェノール化合物は単独でもリノール酸の酸化を抑制した。すなわちカテコール,3, 4-ジヒドロキシトルエン,レゾルシノール等は強い抗酸化力を示し,ついでドーパミン,ノルアドレナリン,ドーパ,アドレナリン,没食子酸なども多少の効果を示した。しかしクロロゲン酸やピロガロールでは微弱であり,フロログルシノールおよびフェニルアラニンは抑制しなかった。
(2) これらのポリフェノール類にリンゴ果肉の酵素を作用させて褐変させると大部分のものは抗酸化力が増強された。その強さは3, 4-ジヒドロキシトルエン,カテコール,ドーパミン,ピロガロール,ノルアドレナリン,アドレナリン,ドーパおよび没食子酸の順であった。
(3) クロロゲン酸はリンゴ酵素により褐変するにもかかわらず抗酸化力は形成されなかった。またレゾルシノールも単独では強い抗酸化力を示すが酵素により増強されなかった。

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