日本食品科学工学会誌
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技術論文
果汁を用いて加水分解した大豆タンパク質の乳化性
江木 伸子 廣瀬 理恵子平尾 和子野田 誠司齋尾 恭子
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2023 年 70 巻 10 号 p. 505-511

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抄録

大豆分離タンパク質 (SPI) の部分的酵素加水分解が乳化安定性に影響することは既に報告されている. 著者らは市販の部分的加水分解された大豆タンパク質素材を用いて, 乳化安定性の高いエマルションの調製について報告した. 本報の目的は, 数種の熱帯果実の果汁をSPIに直接反応させることにより, SPIから保形性および安定性の高いエマルションを調製することである. その結果, パイナップル, キウイ, イチジク, メロン, パパイア (未熟) の果汁をSPIと反応させることにより, 擬塑性流動を示し,保形性のある安定なエマルションを, パパイン酵素と同様に調製できることを明らかにした. 本研究の範囲において, 果実の種類, 産地, 熟度, 果汁とSPIの反応条件により, エマルションの外観, SDS–PAGEによるタンパク質分解物のパターン, 流動曲線による物性等が変化した. 電気泳動パターンでは11Sの酸性サブユニットの消失とエマルションの安定性との関係が示唆された.

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