2023 年 70 巻 1 号 p. 43-45
大豆は, 世界中で広範囲に栽培されている重要な油糧種子資源の一つで, 植物油としての世界生産量はパーム油についで世界第二位である. 大豆油は, ドレッシング, マヨネーズやマーガリンなどの食品用途だけでなく, 大豆インキ, プラスチックやバイオディーゼルなどの非食品用途でも使用されている. 大豆油は大豆種子中の約20 %を占めており, その脂肪酸組成の特徴は, リノール酸やα-リノレン酸といった多価不飽和脂肪酸含量が多く, オレイン酸, パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸も含まれている. 中でもα-リノレン酸は, 酸化しやすくオフフレーバー発生の原因物質となることから, いくつかの育種技術を使って大豆油組成を改変した新品種の開発が進められてきた. 2021年日本食品科学工学会第68回大会の研究小集会大豆部会では, 突然変異体を用いて大豆油成分の改変の研究開発を進めている九州大学大学院農学研究院穴井豊昭先生に最新の研究成果と今後の展望を示していただいた.