日本食品科学工学会誌
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イチョウ葉の生長過程におけるクロロフィルとカロテノイドの変化
森 眞弓鈴木 啓子光崎 龍子
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2000 年 47 巻 6 号 p. 448-451

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抄録

イチョウの生長過程におけるクロロフィル,カロテノイド含量の変化から,次の様な傾向がみられた.
(1) どの生長過程においても水分・クロロフィル・カロテノイド含量は,雄株が多かった.
(2) 水分含量は雌雄株ともに6月が多く,8月を境に雄株は減少,雌株は増加した.
(3) 総クロロフィルは雌雄株とも8月,クロロフィルaは雄株7月,雌株8月に,クロロフィルbは雌雄株ともに10月に多かった.特に,雄株の増加は雌株のおおよそ2∼3倍であり,11月には雌雄株とも減少した.
(4) 全カロテノイドは雌雄株とも8月に急激に増加した.また,α-カロテンは雄株9月,雌株8∼10月にβ-カロテンは雌雄株とも10月に,さらに,ルテインは雄株8月,雌株8,9月に多かった.
(5) 雌雄株ともに,クロロフィルa・総クロロフィルと,α-カロテン・全カロテノイドには1%水準で有意差がみられ,クロロフィルaが増加すると総クロロフィルも増加,α-カロテンが増加すると全カロテノイドも増加する関係にある.また雄株ではβ-カロテン,雌株ではルテインが全カロテノイドに影響を与えている.
(6) すなわち,イチョウの生長過程によるカロテノイド・クロロフィル含量の変化には著しい差は認められないが,生長に関するカロテノイド・クロロフィルの増加には雌雄株ともα-カロテン・クロロフィルaが関与しており,さらに雌雄株にも生長による雌雄株別の特性が明らかになった.

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