日本食品科学工学会誌
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キャピラリー電気泳動法によるゴーダチーズ熟成過程における蛋白質分解物の分析
井沢 登和泉 徹治浅川 茂樹林 清
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1997 年 44 巻 12 号 p. 871-876

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抄録

新鮮な生乳からゴーダチーズを製造し,その熟成中の蛋白質分解過程を,キャピラリー電気泳動(CE)を用いて分析し,以下の知見を得た.
(1) αs1-カゼイン(CN),αs0-CNは熟成初期(0~28日)に速やかに分解され,熟成84日後には90%以上が消失した.これに対して,αs2-CN,βA1-CNおよびβA2-CNの分解速度は小さく,それぞれ38,67,84%が残存した.レンネットの作用でκ一カゼインから生じたパラκ一カゼインもわずかに分解され,84日後の残存率は90%であった.
(2) 熟成が進むにつれて,カゼイン分解生成物と考えられる10種あまりのピークが観察されたが,これらの内の2種は,αs1-CNのαs0-CNに対する比(αs1-CN/αs0-CN)との比較から,αs1-CN,αs0-CNの24~199フラグメントであるαs1-I-CN,αs0-I-CNであると考察された.
(3) αs1-I-CNのαs1-CNに対する比(αs1-I-CN/αs1-CN)は70日目まで熟成日数と高い相関(r=0.988)を示し,チーズ熟成度の判定指標として有効であることが示された.

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