日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
T1/T2化膿性脊椎炎に縦隔膿瘍を併発した1例
新関 浩人宮坂 大介菊地 健司村上 慶洋
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2012 年 26 巻 2 号 p. 143-147

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抄録

症例は,65歳女性.背部痛と微熱を主訴に発症し,近医で上縦隔膿瘍を指摘された.保存療法が無効であったため,発症から10日目に紹介となった.CTでT1/T2の両側にリング状に造影される多房性膿瘍を認めた.MRIのT2-WIでは,T1/T2椎体と椎間板がhigh intensityを示し,化膿性脊椎炎に併発した縦隔膿瘍と考えられた.神経症状や骨破壊像はなく,上縦隔膿瘍をドレナージし,脊椎炎は保存的に加療する方針となった.手術は,頚部襟状切開と胸腔鏡を併用し,頚部と胸部から十分ドレナージできたことを確認した.膿瘍腔からは,streptococcus intermediusが検出された.術後37病日に退院し,1年時点で再燃を認めない.
縦隔膿瘍の原因として,稀ではあるが化膿性脊椎炎も考慮すべきと考えられた.診断にはMRIが有用であり,手術適応として神経症状を有する例,膿瘍形成を認める例などが報告されている.

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