日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
血清KL-6値が高値を呈した直腸癌肺転移の2例
清井 めぐみ吉増 達也太田 文典内藤 古真平井 慶充岡村 吉隆
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キーワード: KL-6, 転移性肺腫瘍, 直腸癌
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2008 年 22 巻 6 号 p. 933-938

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抄録

術前血清KL-6値が高値を示した大腸癌肺転移の2例を経験した.症例1:75歳男性.直腸癌術後follow-up中,血清CEA値の上昇と胸部CTの異常陰影を指摘された.術前KL-6値1800 U/ml.2005年6月,胸腔鏡下肺部分切除術を施行.病理組織診断で直腸癌肺転移と診断された.症例2:68歳男性.直腸癌術後follow-up中,胸部CTにて異常陰影を指摘された.術前KL-6値4010 U/ml.2005年11月,左上葉切除術を施行.病理組織診断で直腸癌肺転移と診断された.2例とも術後に血清KL-6値の低下を認めた.当科で術前に血清KL-6値が測定された転移性肺腫瘍22例の検討では大腸癌由来11例中KL-6陽性例は4例(36%).他臓器由来の11例では陽性例はなかった.機序は不明であるが大腸癌の肺転移では血清KL-6値の上昇が生じる可能性が考えられる.

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