日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
難治性気胸の治療
PGAシート+フィブリングルー充填法の有用性
水野 幸太郎深井 一郎
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2006 年 20 巻 6 号 p. 851-855

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抄録

症例はPerformance Status 2の78歳の男性.非結核性抗酸菌性肺炎の治療中に気胸を発症した.高度の胸膜癒着を伴う脆弱な肺であることと,耐術能を考慮し胸腔鏡下にPGAシート+フィブリングルー充填法を施行した.術後5ヵ月を経過した現在も気胸の再発はなく,肺の伸展は良好である.気胸手術の基本は切除や縫縮による気漏部の閉鎖であるが,高度の胸膜癒着を伴う脆弱な肺の症例では,処置が容易ではなく侵襲も大きくなる.それに対して,完全胸腔鏡下のPGAシート+フィブリングルー充填法は胸腔鏡手技に慣れた呼吸器外科医がいる施設なら容易に低侵襲のうちに施行可能な手技であり,十分な治療効果も得られることから技術的,耐術能的に難治の気胸に応用してもよい方法と思われた.

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