2003 年 17 巻 4 号 p. 491-494
症例は64歳女性.検診で胸部X線異常陰影を指摘された.CT, MRI で大動脈肺動脈窓 (A-P window) に5cm大の腫瘍を認め, 縦隔脂肪腫と診断し開胸手術を施行した.腫瘍は黄色鶏卵大でA-P windowに存在し, 左迷走神経および反回神経に緊縛されていた.腫瘍が左反回神経分岐部付近から発生しA-P windowにかけて増大したと考えられた.神経を損傷することなく腫瘍摘出が可能であった.永久病理標本で良性脂肪腫と診断した.中縦隔脂肪腫は稀であり, A-P windowに認められた報告はなかった.