膵臓
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総説
膵癌拡大手術のエビデンス
田口 昌延笹沼 英紀佐久間 康成山口 博紀菱沼 正一佐田 尚宏
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キーワード: 膵癌, 拡大手術
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2021 年 36 巻 1 号 p. 82-88

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抄録

膵癌においては外科治療が治癒の期待できる唯一の治療法であるが,手術侵襲についても十分に考慮されるべきである.2000年代以降,膵癌に対する化学療法・放射線治療の治療成績が目覚ましく向上する中で,集学的治療の一環として拡大手術の最新のエビデンスと位置づけを理解することは重要である.PV/SMV合併切除は比較的安全に施行可能で,R0切除になる場合に考慮される術式であり,術後治療が行えた場合は良好な予後が期待できる.動脈合併切除の意義は乏しいが,長期生存の報告もある.腹腔動脈合併切除を伴う尾側膵切除は合併症率が高く,症例・施設を厳選して行われるべきである.拡大リンパ節郭清の意義は否定されたが,至適リンパ節郭清範囲は未だ定まっていない.

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© 2021 日本膵臓学会
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