膵臓
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症例報告
集学的治療により長期生存を得ている膵癌術後肝転移の1例
柿本 忠俊三浦 修松岡 功治竹尾 幸子鴨打 周岡﨑 幸紀藤原 純子
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2019 年 34 巻 4 号 p. 172-180

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抄録

症例は64歳,男性.黄疸で受診,膵頭部に30mm大の結節像を認め,膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理結果は浸潤性膵管癌(pT2,pN0,pM0 pStage II)であった.術後S-1単独療法を開始したが,術後4か月目に肝S7に20mm大の結節像を認め,肝転移と診断しFOLFIRINOX療法に変更した.しかし好中球減少・重度の下痢を認めたためgemcitabine(以下GEM)+nab-Paclitaxel(以下nab-PTX)併用療法に変更した.その後肝S7転移巣は消失したが肝S6に新たに転移巣を認め,陽子線治療(64Gy)を施行した.その後もGEM+nab-PTX併用療法を計16コース施行し,術後36か月目のPET-CTで転移巣消失を確認し化学療法を終了した.術後55か月が経過した現在も無再発である.膵癌術後肝転移をきたすも集学的治療が奏効し長期生存を得た症例は稀と考え,報告する.

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© 2019 日本膵臓学会
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