肝臓
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症例報告
画像診断と肝生検で診断し得た肝Adrenal rest tumorの1例
中村 駿介掛川 達矢竹内 啓人髙橋 宏史冨田 裕介阿部 正和吉益 悠笠井 美孝杉本 勝俊古市 好宏糸井 隆夫
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2022 年 63 巻 2 号 p. 69-76

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抄録

症例は68歳女性.元来,自己免疫性肝炎に対し前医でプレドニゾロンを内服していた.スクリーニングのCTと精査目的のMRI検査にて肝S7に腫瘤性病変を認め,肝細胞癌の疑いで精査目的に当科紹介受診した.Dynamic CT,ガドキセト酸ナトリウム造影MRI,造影超音波検査,131I-アドステロールシンチグラフィを施行し,肝Adrenal rest tumor(HART)が疑われた.確定診断目的に肝腫瘍生検を施行し,HARTと診断した.内分泌学的評価を施行した結果,コルチゾールの過剰分泌は認めず,臨床的に非機能性腫瘍と判断した.HARTは比較的稀な腫瘍であり,術前に肝細胞癌と診断され手術を施行された報告が多い.本症例は画像診断からHARTを疑い,肝生検で診断し得た.HARTを切除せずに経過観察している貴重な症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.

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© 2022 一般社団法人 日本肝臓学会
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