肝臓
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総説
画像診断における人工知能の応用と超音波AIの開発
西田 直生志工藤 正俊
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2020 年 61 巻 12 号 p. 623-636

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抄録

近年,社会機能の種々の場面で人工知能(artificial intelligence:AI)を導入する試みがなされている.医療においても,医療従事者の負担軽減や見逃し防止を目的としてAI診断の導入が始まっており,内視鏡検査のAI診断補助,胸部レントゲンの病変スクリーニング,病理検査のAI遠隔診断など,既に実用化,あるいは実用化が近いものが出てきている.加えて,病変検出や診断のみならず,治療法選択などの疾患マネージメントを視野に入れた報告もなされている.画像診断支援はAIに親和性の高い分野であり,本邦でも重点的にAI開発がなされるべき分野として,日本医療研究開発機構の臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業の枠組みでの大規模なデータベース構築とAI開発が進んでいる.一方,超音波分野のAI開発に関しては,画像データの取得に際して術者依存性が高いこと,機器ベンダーや機種が多く,さらに画質パラメータが複数あるなど,画像の多様性が高く,データベース構築やAI開発に際してのハードルとなっている.本稿では,医療分野での画像診断領域AIの現状を概説し,特に超音波AIにフォーカスして,その特有の問題点を取り上げ,近未来の超音波AI支援システム展開において取り組むべき課題を述べる.

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© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
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