2008 年 49 巻 5 号 p. 183-191
高ウイルスC型慢性肝炎に対してPeginterferon alfa-2b(PegIFN)とRibavirin(RBV)併用療法を行い,sustained virological response(SVR)判定が可能であったジェノタイプ1型168例,2型34例,計202例を対象とし,SVR規定因子の検討を行った.SVR率はintention-to-treat(ITT)解析で1型41.1%,2型76.5%であった.1型のSVR規定因子は年齢,肝脂肪変性,前IFN+RBV治療効果であり,脂肪変性別でのSVR率は,脂肪変性有り30.5%,無し61.1%と有意差を認めた(p<0.001).脂肪変性有無での背景因子の比較では,FBS, IRI, HOMA-Rに有意差を認めたが,BMI,脂質代謝検査値には差がなかった.一方,2型のSVR規定因子はFBSのみで,脂肪変性別でのSVR率は,脂肪変性有り76.5%,無し84.6%と有意差はなかった(p=0.6725).1型におけるPegIFN+RBV療法の治療効果において,肝脂肪変性は重要であり,肝脂肪変性の治療が新たな治療戦略に有用である可能性が示唆された.