肝臓
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B型慢性肝炎例での24週インターフェロン療法の長期予後について
HBe抗原陽性例と陰性例での比較
箱崎 幸也花田 健治中屋 照雄近藤 寿郎三谷 圭二森實 敏夫
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2004 年 45 巻 11 号 p. 589-597

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抄録

HBV-DNA陽性のHBe抗原陽性21例とHBe抗原陰性15例のB型慢性肝炎36症例に, n-IFNα600万単位/回・週3回・24週間投与を行い, 60カ月以上[平均108カ月(60~156)]の長期観察による症例シリーズ研究を行った.
IFN終了12カ月後の血清ALT値正常化率は, HBe抗原陽性群では29%, HBe抗原陰性群では53%であった. IFN投与後肝炎の再燃例もみられたが, 5年以内に再びALTが持続正常化した症例もみられ, 最終経過観察時点までの2年間以上の血清ALT値の持続正常化率はHBe抗原陽性群で48%, HBe抗原陰性群では47%であった. HBV-DNA (TMA法) 持続陰性化率は, 両群とも33%であった. 多重ロジスティック回帰分析によるALT持続正常化に寄与する因子の検討では, IFN投与前の低HBV-DNA量とIFN投与期間中のALT正常化の両因子で有意確率は低率 (p=0.055, 0.058) であった. IFN投与期間中ALT正常化群と非正常化群での累積ALT持続正常化率の検討では, ALT正常化群は非正常化群に比し有意に高率であった(Logrank 検定p=0.0047). 経過観察中に, 両群で各1例に肝細胞癌, HBe抗原陽性群では肝不全死の1例を認めた.
今後B型慢性肝炎治療ではラミブジンなどの核酸アナログ製剤が中心になると思われるが, IFN 24週間投与は今後とも重要な位置を占めるものと考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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