肝臓
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HBs抗原陰性化後12年経過し発見された肝細胞癌の1例
吉野 聡蘇原 直人大塚 敏之柿崎 暁高木 均森 昌朋
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2004 年 45 巻 4 号 p. 206-210

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抄録

症例は77歳, 女性. スクリーニングの腹部超音波検査にて肝腫瘍を指摘され, 腹部CT等の精密検査にて肝細胞癌と診断された. 血清学的検査にてHBs抗原陰性・HBs抗体陽性・HBc抗体弱陽性・血中HBV-DNA陰性と, B型肝炎ウイルス(HBV)の既往感染パターンを示していたが, 問診にて肝硬変としての加療歴があり, その後の調査にて過去にHBVによる肝硬変として加療されており, 12年前にHBs抗原が陰性化していたことが判明した. HBVキャリアーがHBs抗原陰性化後12年にて肝細胞癌が発症した症例であり, 問診とその後の調査がなければ非B非C型肝細胞癌と扱われた可能性もある. 肝細胞癌の発癌においてのB型肝炎の関与を考慮する上で興味深い症例と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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