肝臓
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細小肝癌として切除された異時性肝重複癌の1例
野村 康晴松田 康雄薮内 以和夫位藤 俊一衣斐 義高根来 宏野上 陽垂井 清一郎
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1997 年 38 巻 6 号 p. 381-385

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抄録

症例は68歳, 男性. C型慢性肝炎で通院中, 1993年5月腹部USにて肝左葉外側域に径1.2cm大の腫瘤を指摘され6月1回目の入院となった. この腫瘤は血管造影では腫瘍濃染像を認めず, 造影エコーにてhypoechoic change with rim signの所見を呈した. 7月肝左葉切除術が施行され, 組織は未分化の胆管細胞癌であった. 術後経過良好であったが, 1995年6月再び腹部USにて肝右葉S7に径1.7cm大の腫瘤が認められ2回目の入院となった. この腫瘤も血管造影陰性であったが, 造影エコーではhyperechoic changeを示した. 10月肝部分切除術が施行され, 組織は高分化型肝細胞癌であった. 原発性肝癌の中で, 同一肝内に肝細胞癌と胆管細胞癌の両者が異所性に認められる重複癌は極めてまれである. 本症例は胆管細胞癌と肝細胞癌が異時性に細小肝癌として発見され切除された興味ある症例と考え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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