肝臓
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無症候性原発性胆汁性肝硬変の胆管障害におけるHLA-DR抗原発現の免疫組織化学的検討
特に血清ALP値正常例と高値例との比較
小池 淳樹前山 史朗
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1996 年 37 巻 9 号 p. 486-494

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は,その診断技術の進歩により臨床症状を呈す以前に発見されることが多くなり,無症候性PBCと呼ばれている.この中で特に血清ALP値が正常の症例(early PBC; ePBC)に注目し,最近病因との関連が示唆されている小葉間胆管上皮におけるHLA-DR抗原の異所性発現について血清ALP値が上昇している症例(aPBC)と免疫組織化学的に比較検討した.また,一般染色像における胆管炎および胆管障害像の程度についても併せて検討した.
胆管炎および胆管障害の程度については,両者に明らかな差は認められなかった.これに対し,小葉間胆管上皮におけるHLA-DR抗原の発現に関し,ePBCはaPBCに比し有意に低かった.このことから,PBCの胆管障害においてはその過程でHLA-DRの発現が惹起され,胆管障害の進展あるいは持続に関与していると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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