肝臓
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B型慢性肝疾患におけるIgM型HBc抗体の分子性状の変化について
辻 邦彦長谷部 千登美村住 ゆかり吉田 行範金井 賀子大平 基之大田 人可幸田 弘信小野 稔矢崎 康幸関谷 千尋並木 正義
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1991 年 32 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

IgM型HBc抗体の分子性状を,B型肝炎ウイルスの一過性感染と持続感染で比較するとともに,持続感染において,その抗体価の変動に伴う分子性状の変化を検討した.
その結果,一過性感染では急性期・回復期ともにその抗体活性は19S IgMのみに認められた.それに対し,持続感染では19S IgMばかりでなく7S IgMも抗体活性が認められた.
さらに,持続感染ではIgM型HBc抗体が陰性時には7S IgMが主体であるが,急性増悪時など抗体陽性になる時にほ19S IgMが主体となっており,この様な分子性状の変化は同一症例でも確認された.
つまり,持続感染例では急性肝炎と異なり7S IgMもIgM型HBc抗体活性を示すが,その急性増悪に際しては,19S成分のIgM型HBc抗体が増加すると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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