肝臓
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関節炎を初発症状としたB型急性肝炎の6症例
福田 善弘武地 一中坊 幸晴国立 裕之境 祐二平岩 望長谷 寛二姫野 泰雄瀬古 修二小東 克次長岡 研五上野 征夫井村 裕夫
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1988 年 29 巻 11 号 p. 1502-1508

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抄録

関節炎を初発症状としたB型急性肝炎の6症例を経験し,うち5例については関節炎を呈している時期での血清が得られたため,その成因とされる血中免疫複合体(IC)について詳細に検討した.Clq固相酵素抗体法によるICは5例中2例(40%)で陽性であったが,Raji cell酵素抗体法では全例陰性であった.一方,特異的とされるHBs抗原・抗体ICはpolyethyreneglycol-trypsin処理法により5例中4例(80%)にみられた.補体C3, C4の低下はそれぞれ2例(40%), 3例(60%)にみられた.したがって血中ICがこれら関節炎に深く関わりあっているという可能性は少ないように思われた.今後はこのような症例を念頭に置き,関節局所でのICの沈着あるいはB型肝炎ウイルスの増殖の面からの検討も重要と考えられた.
以上,本邦ではまれな関節炎を初発症状としたB型急性肝炎例を報告し,その成因について若干の考察を加えた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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