肝臓
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胆管内に発育し閉塞性黄疸を呈した細小肝細胞癌の1例
阿部 正秀久保 保彦平井 賢治池田 英雄谷川 久一中山 和道小林 重矩神代 正道川野 芳朗
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1983 年 24 巻 4 号 p. 461-465

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抄録

症例は48歳,男性.黄疸と上腹部痛を主訴として来院した.エコー,逆行性胆管造影,血管造影などにより,左肝内胆管に腫瘍を認め,原発性胆管癌と診断し,左葉切除術を施行した.手術および病理所見では20×20mmの原発性肝細胞癌が左肝内胆管にポリープ状に発育していた.
肝細胞癌は種々の臨床症状を呈する.時に腫瘍の胆管内発育により閉塞性黄疸を呈することが報告されている.しかしその多くは進行癌で認められ,細小肝癌では全く報告をみない.細小肝癌は一般に無症候であることが多いが,本症例は細小肝癌が胆管内に発育し閉塞性黄疸と疼痛の消長を繰り返し,外科的に切除可能であった,ごくまれな症例として文献的考察を加えて報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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