肝臓
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アセトアミノフェン肝炎の1例
涌島 正村脇 義和平山 千里小坂 恭一冨江 一夫森井 正
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1983 年 24 巻 12 号 p. 1411-1415

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抄録

セデスA(R)60錠(アセトアミノフェン4.8g)を自殺目的で服用し,薬物性肝障害を生じた症例を経験した.症例は22歳,女性で,半昏睡の状態で入院し,第2病日には覚睡したが,この頃より嘔気,腹部膨満感を訴え,肝機能障害を認めた.第5病日にはトランスアミナーゼが10,000IU以上に上昇したが,ビリルビンは2.2mg/dlと軽度の上昇にとどまった.この時のプロトロンビン時間は17.4秒と延長し,ヘパプラスチンテストは34%と著明に低下した.その後自覚症状,肝機能検査は急速に改善し,第17病日の肝CT像では特に異常を示さず,第24病日の肝生検では,肝細胞の淡明化を認めるだけであった.治療としてはグルタチオン1~2gを含むブドウ糖の点滴療法を行なった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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