肝臓
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腎移植患者にみられた高γ-GTP血症とその考察
高橋 示人小川 大二奥野 忠雄大熊 誠太郎中嶋 俊彰勝馬 芳徳小笠原 孟史杉野 成瀧野 辰郎岡 隆宏中根 佳宏臼井 健雄安村 忠樹相川 一郎大森 吉弘木村 敏之
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キーワード: 腎移植, 肝障害
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1979 年 20 巻 12 号 p. 1238-1245

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抄録

腎移植後,血清γ-GTPが1,000mUを超える著増を示した3症例を経験した.3例とも移植後14, 7, 5ヵ月後に黄疸が出現し,γ-GTPはそれぞれ最高1,608, 1,764, 1,300mUと著増した.その値はLAP, ALPと相関した.2例で4~30% polyacrylamide gradient gel slab電気泳動法によるγ-GTP isoenzymeを検索したが,ともに陽極側よりI, III, IX, X(原点)分画に活性帯がみられ,1例はIX, X分画に,1例はI, X分画に強い活性を認めた.いずれも死亡したが,剖検肝組織は亜広汎肝細胞壊死2例,広範な脂肪沈着の1例であった.黄疸例を除く腎移植患者40症例について,移植後のγ-GTPとGOTを月ごとに比較すると,γ-GTPの上昇はGOTより優位で,γ-GTP/GOTは平均2.0で,非移植患者でみられる慢性肝炎より有意に高かった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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