肝臓
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肝疾患の血清補体に関する研究
特に補体蛋白成分,血清血漿補体価解離現象について
森藤 隆夫西間木 友衛鬼沢 憲夫武田 尚寿正木 盛夫村井 隆夫吉田 浩粕川 礼司吉田 赳夫
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1977 年 18 巻 12 号 p. 925-935

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抄録

各種肝疾患患者の血清補体価は,急性肝炎で健常人より高値を示し,発症後数週で幾分低下した.慢性肝炎,肝硬変症では健常人より低値で,その変動範囲も小さかった.補体蛋白成分C3,C4は病変の進展に伴い低下し,それらは血清補体価と正の相関を示したが,Clqは肝硬変症で最も高く直接肝障害度を表現しなかった.免疫グロブリン量と血清補体価との間の関係については一定の傾向はみいだせなかった.血清血漿補体価解離現象は肝硬変症7例,慢性肝炎6例,急性肝炎1例の計14例に認められた.その平均補体価は非解離例に比して著明に低かったが,観察期間中,常に解離を示したのは5例で,他の9例は血清補体価の変動が大きく,補体価上昇時には解離現象はみられなかった.解離例に特徴ある肝組織所見,肝機能異常は認められなかったが,血清学的異常な有する症例が存在した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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