1975 年 16 巻 8 号 p. 511-523
慢性肝炎に対する薬効評価の基礎的研究として,3カ月間の経過変動を理学的所見,他覚所見,肝機能検査および組織学的所見から検討した.対象は肝生検により診断の確定した慢性肝炎(活動型)75例である. 1) 肝機能検査の正常率はアルブミン68%, ZST 51%, γ-グロブリン49%, TTT 40%, GOT 35%, GPT 28%であった. 2) 障害度間の比較で関連が高かったのは,ZSTと巣状壊死および円形細胞浸潤,アルブミンと巣状壊死および限界層破壊,γ-グロブリンと巣状壊死,TTTと巣状壊死であった. 3) 肝機能検査成績の2週毎の改善率の円形グラフは薬効検定に有用と考えられた. 4) 組織学的障害度を肝機能検査値から重回帰分析で予測したが,重相関係数が低く実用的でなかった. 5) 正準相関分析による組織学的障害度と肝機能検査値で関連が高かったのは,円形細胞浸潤とアルブミンおよびA/G比であった.