植物工場学会誌
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キュウリの閉鎖型ロックウール栽培における培地栄養成分の変化
李 進才松井 鋳一郎吉田 徹志
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2000 年 12 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

キュウリの生育にともなう蒸散量の変化に応じて給液量を制御する閉鎖型ロックウール養液栽培において, キュウリ水耕栽培の汎用処方 (リン, カリウム, カルシウムおよびマグネシウムはそれぞれ3, 6, 7および4me・liter-1) を用い, 培養液の窒素濃度を4, 13, 22me・liter-1の3区に分けて栽培を行い, キュウリの生育, 培養液の栄養成分変化および葉中の無機成分含有率について調査した.
低N区は, キュウリの生育が極めて貧弱であり, 主枝葉中の各無機成分含量が少なかった.標準N区に比べ, 高N区は茎, 葉の新鮮重, 収量および培養液の供給量とも少なかった.
培地の窒素は高N区では結果中期から著しく集積したが, 標準N区では結果後期にやや集積した.リン濃度は結果初期以降各区ともほぼ無で推移した.標準N区と高N区ではカリウムは結果後期に, カルシウムおよびマグネシウムは結果前期から多く集積した.
主枝節位別の葉中の窒素含有率は, 標準N区では上位葉, 高N区では中, 上位葉が高く, リン含有率は培養液の窒素レベルに正比例し, 下位葉ほど低かった.一方, カルシウムとマグネシウム含有率は培地の塩分集積につれて生育段階が遅い上位葉ほど, また高N区で低かった.カリウムは中, 上位葉でこの傾向がみられた.これらの結果から, 閉鎖型養液栽培には生育に応じた栄養成分の均衡を保つ必要が明らかとなった.

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© 日本生物環境工学会
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