生物環境調節
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土壌環境が野菜の養分欠乏に及ぼす影響
清水 武中尾 知二
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1985 年 23 巻 2-3 号 p. 27-36

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抄録

現地で発生した各種野菜の栄養障害事例について調査・収集し, 作物および土壌の養分状態を診断するための判定資料とした.調査の結果, 次の諸要素の欠乏障害がみとめられた.
1) ホウレンソウのリン欠乏: 葉中P含量は0.15%に低下し, 土壌は酸性 (pH4.6) で有効態P2O5含量は22mg/100gてあった.
2) ナスのカリウム欠乏: 葉中K含量が0.55~1.62%と低く, 土壌の交換性K2O含量が7mgに低下していた.
3) ナス, ダイコンのマグネシウム欠乏: 葉中含量はそれぞれ0.03, 0.06%で, 土壌の交換性MgO含量は14mg以下となっていた.
4) トマトの鉄欠乏: 葉中Fe含量は先端葉で70ppm, 土壌はpH8.1であった.
5) シュンギク, ホウレンソウ, ナスのマンガン欠乏: 葉中Mn含量はそれぞれ18, 8, 13ppmで, 土壌はシュンギク, ホウレンソウではpH8.4以上であったが, ナスではpH7.~7.3, 交換性Mn 0.6ppm, 易還元性Mn 19~27ppmと低下していた.
6) セルリー, トマト, シュンギクのホウ素欠乏: 葉中B含量はそれぞれ17, 18 (中上位葉) ~41 (下位葉) , 16ppmで, セルリーの茎では15ppmであった.
各作物について障害の再現性を確認するため, 水耕栽培による欠除試験を行い, 現地の障害と比較した結果, 障害症状はよく一致した.

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© 日本生物環境工学会
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