紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
総説・資料
石炭焚きボイラ制御性改善による効率アップ
月舘 秀一
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 74 巻 10 号 p. 982-987

詳細
抄録

三菱製紙株式会社八戸工場の動力設備は化石燃料系ボイラとバイオマス系ボイラがあり,その中で石炭焚きボイラと黒液回収ボイラ,廃棄物ボイラが常用で稼動している。また,発電機は背圧タービン,抽気復水タービン等があり工場内使用電力のほぼ100%供給している。石炭焚きボイラは,工場蒸気使用量の約半分の蒸気発生量があり,併設の蒸気タービンも工場使用電力量の約半分を発電している。

石炭焚きボイラは稼動後23年が経過し,制御性のズレと使用する石炭の多様化により主蒸気圧力の変動が大きくなりボイラの燃焼制御だけでは制御しきれず,主蒸気圧力設定を稼動開始直後より下げて運転せざるを得ない状況になってきた。更に,主蒸気圧力の変動と同様に主蒸気温度の変動とボイラ出口O2の変動も多く現れ,現状のパラメーター調整だけでは対応しきれない状況になってきた。

このような運転上の問題点を解決すべくボイラメーカー協力のもと,ボイラ燃焼制御性の改善を実施した。従来のパラメーターの微調整と新しい先行信号を組み込むことにより,制御性が大幅に改善され発電機出力を0.66%アップすることができた。

本報告では従来の運転上の問題点と制御改善の概要等について紹介する。

著者関連情報
© 2020 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top