紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
家庭紙特集
ティッシュマシンへの最新技術アプローチ
─コーティング膜の可視化─
前川 卓彌
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 73 巻 5 号 p. 414-420

詳細
抄録

生活必需品である衛生用紙産業(ティッシュペーパー,トイレットペーパー,タオルペーパー等)はインバウンドの恩恵や東京オリンピックという大きなイベントも控えており,今後も安定的な成長が期待されている。

日本国内のティッシュ製造はマーケットニーズの違いから,欧米と異なりヤンキー上に形成されるコーティング膜が極めて薄いことで知られている。このコーティング膜は,ティッシュのクレープ形成の重要な因子であるとともに,ヤンキーを保護するという大事な役割がある。

この薄いコーティング膜は,外部からの変動要因(水分,pH,内添薬品,パルプ特性,チャージ変動,水質変動等)に大きく影響を受け,場合によっては膜の形成が簡単に変化してしまうので,その管理方法が難しいとされている。いかにコーティング膜をヤンキー上に均一に安定的に形成させることが,ティッシュ製造において最大のポイントとも言われている。

しかし,これだけ重要な役割を持つコーティング膜であるが,実際にはその厚み・接着力・硬さ等を測定する方法は確立しておらず,あくまで操業者の目視,感覚,経験や薬品メーカーの推奨から判断されることが多く,定量的な管理方法は確立していない。

BTGはコーティング膜の管理の手段として,振動解析システム―Vigilance(ビジランス)―を開発し,販売を行っている。ビジランスとは『不寝番』という意味で,クレープの安定形成,操業改善,チャタマーク防止や発生の原因追及に役立つシステムとして,コーティング膜を『可視化』できる唯一のシステムとして既に世界で150台以上の実績を持つ。

本稿ではクレープ形成の理論を交えコーティング膜の重要性を説明し,このビジランスの有効性について紹介する。

著者関連情報
© 2019 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top