紙パ技協誌
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省エネルギー特集 II
石炭焚火力の木質バイオマス高比率混焼によるCO2低減対策技術動向
福島 仁田村 雅人河西 英一上野 俊一朗松永 康夫
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2018 年 72 巻 7 号 p. 708-714

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抄録

2020年以降の国際的な削減枠組みとなるパリ協定が,2015年の12月に採択され,日本政府が2030年度の温室効果ガスを2013年度比26%削減すると言う目標達成に向けて動き出している。例えば省エネ法の改正による各火力への効率目標設定であり,木質バイオマス混焼は,石炭焚火力の効率改善にカウントができる有効な低炭素化技術である。現在ようやく木質バイオマスを30cal%混焼する石炭焚火力が商用運転に入った。本論文では,その高比率混焼を可能にした技術や事前に確認された実証試験の内容を紹介する。実証試験は,新日鐵住金株式会社釜石製鐵所殿の石炭焚設備で木質ペレット25cal%の高比率混焼を実施し,安定した運転を確認。ボイラ内では付着灰を採取して分析を行い,模擬灰を調整して腐食試験を行った。ボイラ伝熱管の灰による腐食は,長期運用で明らかになることではあるが,石炭灰腐食を定量化した手法を使い現段階での評価をした。その結果,石炭専焼時と比較して木質バイオマス混焼による腐食量の差は小さく,実用上問題は無いと判断された。以上から石炭焚火力のCO2低減対策技術として,木質バイオマス混焼は有効な技術と考えられ,特に高比率混焼に対応できる木質ペレットの国内流通拡大が,今後は待たれると考える。

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