日本製紙株式会社秋田工場では,2015年5月に漂白における最適化システム(以下,APC)を導入した結果,最終白色度のバラツキ減少,白色度基準値低下に繋がり大きなコスト削減を果たした。漂白APC導入後も,適切な監視計器の管理,モデル式のズレ対応を行うことで,制御の安定性を確保できる。また,設備改造を実施しても,再度バンプテストを実施することで,制御の信頼性を維持することができる。
秋田工場のLBKP漂白工程はDO-EP-D1のシーケンスである。漂白工程の制御は,従来,完成白色度の基準未達がないよう安全サイドでの薬品調整となっていた為,コスト削減の余地があり漂白APCを導入した。その結果,最終白色度のバラツキが減少し,白色度の下限値は従来と同じ状態で,平均値を下げることに繋がった。さらに各漂白段の効率向上・操業安定化が図られたことにより,高価な二酸化塩素を減らし安価な過酸化水素を増やす漂白へとシフトさせ,漂白工程全体の最適化を追究できた。
漂白APC導入後も,材配変更等による漂白性が変化した際は手動介入が必要であるが,モデル式の再構築により制御の安定性を向上できる。また,監視計器の健全性を保つことが重要であるため,校正頻度上げて管理している。
また,さらなる漂白コスト改善のため,2016年5月にDO段とEP段において,pH調整用薬品と漂白薬品を同時添加していた工程を,pH調整後に漂白薬品を添加できるように改造を行ったため,再度バンプテストを実施し,制御の信頼性を向上させる予定である。