紙パ技協誌
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研究報文
高品質多孔性填料の開発(第2報)
―耐アルカリ性微小粒子が粒子物性および紙質へ与える基礎検討―
山本 学若狭 浩之岡田 比斗志
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キーワード: W5填料, S1紙の性質一般
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2013 年 67 巻 4 号 p. 437-442

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抄録

多孔性填料と称される合成シリカは,近年では,その比重の低さを特徴として,紙の嵩高化を目的とした充填剤としての使用量が増えてきている。多孔性填料の使用には,機械パルプのような褪色,および嵩高剤として使用される脂肪酸系誘導体,特殊界面活性剤のような抄紙機を汚すといった問題もなく,シューカレンダのような新たな設備の設置を必要とせず,現設備で対応できるといったメリットがある。しかし,現在適用されている他の嵩高技術と比較して低下レベルは低いものの,紙力の低下をもたらすといった問題が残っている。
そこで我々は,嵩高性および不透明性に優れ,紙力低下の少ない高品質多孔性填料の開発を試みた。具体的には,珪酸ナトリウムと鉱酸を直接反応させる直接酸分解法を基本原理として,反応時に耐アルカリ性微小粒子を用いて,一次粒子径,二次凝集粒子径および粒度分布への影響を調査し,得られた多孔性填料が嵩高性,不透明性,および紙力に与える影響について述べ,本多孔性填料の有用性を明らかにした。
すなわち,以下に示す知見が得られ,有用な高品質多孔性填料を製造できることが示唆された。
1)耐アルカリ性微小粒子を反応時に存在させることで,様々な粒子物性の多孔性填料を製造できる。
2)耐アルカリ性微小粒子の添加量および攪拌力を調整することで,一次粒子径,二次凝集粒子径および粒度分布を最適化することが可能となり,嵩高性および不透明度に優れ,紙力低下の少ない多孔性填料を製造できる。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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