紙パ技協誌
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新入社員歓迎号
バイオ燃料生産残渣の有効利用
―スィートソルガムからの紙の製造―
大野 淳原 普一新田 洋司塩津 文隆浅木 直美本間 貴司
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2013 年 67 巻 4 号 p. 364-368

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抄録

エネルギー需給が逼迫する度にバイオマス利用の機運は高まるが,原油市場や価格が安定すると自然消滅した。バイオマスには,草本系,木質系,資源作物,家畜排泄物,下水汚泥,食品廃棄物などが挙げられる。バイオマスの最大の特徴は,大気中の二酸化炭素を増やさない「カーボンニュートラル」であることである。
茨城大学では約20年にわたりバイオ燃料作物としてスィートソルガムを研究し,バイオ燃料プロジェクトにおいてバイオ燃料による実装走行も行っている。
一方,スィートソルガムは糖液採取後の残 処理が課題の一つであり,これの付加価値を高めることで,バイオ燃料プロジェクトのコスト削減および廃棄物量削減に繋がることになる。その一つとしてパルプ化・抄紙化の可能性を検討し,さらには実機試作を行った。
アルカリ蒸解にて残 のパルプ化は可能であり,LBKPよりも高強度なパルプが得られ,さらにはスィートソルガムパルプ100%にて一般用途に耐えられる封筒を作成することが出来た。第一回目の取組としては成功を収めたと言える。
現時点にて本取組には幾つかの課題が残されているが,残 処理の一つとしてのパルプ化・抄紙化は今後その重要性が増すことが予測されることから,各課題を解決することで,バイオ燃料プロジェクトのさらなる推進に貢献できると考えている。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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