紙パ技協誌
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研究報文
クラフト蒸解に適した南アフリカ産植林木ユーカリ材の特徴
本間 光子高橋 史帆中川 明子大井 洋中俣 恵一
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2009 年 63 巻 3 号 p. 307-316

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抄録

パルプ用原料として期待されている南アフリカ産のユーカリ属ナイテンス(Eucalyptus nitens),スミジアイ(E. smithii),グランディス(E. grandis),およびマッカーサリー(E. macarthurii)材について,クラフト蒸解と無塩素漂白に対する特性を明らかにした。
スミジアイの材密度はマッカーサリーのつぎに高く,0.665g/cm3であった。リグニンのアルカリ性ニトロベンゼン酸化による構造分析では,シリンガアルデヒドのバニリンに対する比(S/V比)がスミジアイ材で4.18と最も高かった。スミジアイ材のクラーソンリグニン含有量はナイテンスのつぎに低く22.8%で,スミジアイ材は最も脱リグニンされやすく,蒸解性に優れていることが示された。パルプ収率はナイテンスのつぎに高かった。酸素漂白パルプをさらにオゾンと過酸化水素で漂白したところ,スミジアイパルプの白色度が最も高く,86.7%ISOであった。
四種のユーカリ材の中でパルプ材として最も適する材はスミジアイであり,それは材密度とパルプ収率が二番目に高く,漂白後に高い白色度を示したためである。

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© 2009 紙パルプ技術協会
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