紙パ技協誌
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ターボブロワ増速機改造による省エネルギー
奥村 徹
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1996 年 50 巻 8 号 p. 1138-1143

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抄録

当工場において省エネルギー活動は逐次実施しているが, 今回, 抄紙機において大電力を消費しているターボブロワについて省エネルギーを検討することにした。
抄紙機におけるターボブロワは, その吸い込み圧力により濃度の低い原料から水分を搾り取ることや, 水分の多い紙匹をフェルトに接着させ, ロールからロールへと運ぶ目的で使用されている。しかしながら, 近年の新聞用紙の軽量化や, プレスパートにおいて, フェルトシャワーを使用しないドライランニングへと操業方法が変わってきたこと, 又, 抄紙機メーカから提示されるターボブロワ能力は大きめで, 風量, 吸い込み圧力とも余力が大きいこと等から, 実際の操業では手動弁をかなり閉め, 吸い込み圧力を下げた操業をしていた。そこで, ターボブロワが現状の操業に即した運転となるよう, ターボブロワ最適化を図り負荷電力低減を目指すことにした。
ターボブロワ最適化の方法として, フロー変更, 羽根車のカット, 回転数ダウン等考えられるが, 今回, 改造コストが安く, 工期が短い増速機改造による回転数ダウンを実施することにした。改造を実施するにあたり, ターボブロワの現状運転点, 及び, 現状の回転数を95%, 90%に落とした時の運転点を調査した。又, 実機にて現状回転数の95%, 90%に当たる吸い込み圧力に合わせるため, 手動弁を閉め操業性, 品質等を1年にわたりチェックし, 行けるという確信を持ったので平成7年4月ターボブロワ増速機改造に踏み切った。
改造の結果, 操業上, 品質上のトラブルは何ら発生しておらず, ターボブロワ負荷電力は 1,183 kWから914kWとなり269kWの省電力となった。又, 紙の電力原単位は30kW・h/T~ 40kW・h/T の低減となった。

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