日本水処理生物学会誌
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低温における従属栄養脱窒とanammoxを組み合わせた窒素除去:バッチ処理による検討例
惣田 訓朴 起里竹内 楓池 道彦
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2020 年 56 巻 4 号 p. 91-97

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抄録

 都市下水からの窒素除去方法として、従属栄養脱窒とanammoxを組み合わせたSADプロセスが提案されている。SADプロセスでは、anammox細菌は脱窒槽に導入される。硝酸態窒素が亜硝酸態窒素に従属栄養細菌によって還元され、その亜硝酸態窒素の一部はanammox細菌に利用され、アンモニア態窒素とともに窒素ガスに還元される。本研究では、SADプロセスによる窒素除去を20℃の24時間バッチ試験によって検証することを目的とした。合成下水20mLに、20℃で集積されたanammox汚泥と、下水処理場から採取した活性汚泥をそれぞれ1500mg-MLSS/Lの濃度で懸濁した。硝酸態窒素70mg-N/Lとアンモニア態窒素50mg-N/Lを含み、酢酸ナトリウムを単一炭素源とする合成下水からのSADプロセスによる窒素除去率は、C/N比0.4-1.5において49-80%であり、通常の脱窒反応に比べ、窒素除去率は低C/N比において高かった。しかし、20℃におけるSADプロセスによる窒素除去率は、33℃で得られた以前の実験値よりも非常に低く、従属栄養細菌の活性に大きく依存することが示された。低温において効率的なSADプロセスを開発するには、亜硝酸態窒素を生成する活性の高い従属栄養細菌が必要である。

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© 2020 日本水処理生物学会
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