日本水処理生物学会誌
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異なる担体を利用したAnammox 処理の比較検討
喬 森秦 浩平成 英俊稲富 泰彦西山 孝藤井 隆夫小山 登一郎古川 憲治
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キーワード: Anammox, 脱窒, EPS, DNA鑑定
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2009 年 45 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

近年Anammoxプロセスは従来の窒素除去技術に代わる技術として注目されている。本研究では、新規アクリル繊維性担体(Biofix)とポリエステル不織布をAnammoxプロセスの担体として採用した。不織布リアクタの温度は35℃に設定し、一方でBiofixリアクタは平均25℃で運転した(夏場の最高温度は31.5℃)。約330日の運転で、Biofixリアクタの窒素負荷は3.6kg-N/m3/dに達し、除去率は81.3%に達した。これに対し、不織布リアクタの窒素負荷は4.0kg-N/m3/dに達し、除去率は86.3%に達した。汚泥に含まれるEPSの中では、蛋白質の含有量が最も多く、Biofixリアクタの細胞外ポリマー物質(EPS)量は不織布リアクタの約3倍以上に達した。EPS量と走査電子顕微鏡による観察からBiofixリアクタに形成した粒状汚泥が不織布リアクタより密集していることが明らかとなった。16S rDNAの結果から、KSU-1株が低窒素濃度に適合し、KU2株が高窒素濃度を好むことが推定された。また、溶存酸素を消費する可能性のある細菌も検出されたため、Anammox細菌は溶存酸素の存在する条件下でも生存可能であることが明らかとなった。

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© 2009 日本水処理生物学会
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