2006 年 42 巻 2 号 p. 85-91
生物膜担体として活性炭及び非吸着性セルロース材を用いてカビ臭物質2-メチルイソボルネオール(MIB)とジオスミンの物理的吸着能および生分解特性を検討した。生分解試験では、MIBを分解するPseudomonas sp.を用いた。カビ臭物質の物理的吸着能すなわち等温吸着試験では、より広い比表面積を持つ活性炭の方が高い吸着能を有し、ジオスミンにおいて吸着能の差がやや大きかった。一方、セルロース担体では細孔径に大きな違いがあってもいずれも全く吸着が認められなかった。また、活性炭にMIBを吸着飽和させたものと非吸着性のセルロースにそれぞれPseudomonas sp.の生物膜を形成させ、それぞれの生物膜によるMIB分解能試験を行なったところ、活性炭担体では最大92.7%、セルロース担体では最大87.7%、Pseudomonas sp.のみでは55.7%となり、吸着性、非吸着性担体に係わらず生物膜のMIBに対する分解・除去能が極めて高いことが明かとなった。