本研究は, がん性疼痛マネジメントにおける患者の主体性と医療者の役割遂行について,「痛み計」の使用頻度をもとに, その効果を検討した. オピオイド使用中のがん患者10名は2週間, 随時「痛み計」に主観的な疼痛の強さを記録し, そのデータをグラフ化して患者と医療スタッフが共有した. その後, 患者と家族, 医療スタッフに質問紙調査を行った. その結果, 1日の入力回数の中央値は4.5回で, 質問項目の「入力しようと思った時は毎回入力した」「グラフを見た頻度」「グラフをもとに医師と話し合った」「他の患者にも勧めたい」「治療に参加しているという実感がある」と相関した. また, 医療スタッフは入力回数が多い患者に対し, 「痛み計のデータは疼痛アセスメトに役立った」「疼痛コントロールに関する患者の満足度は向上した」を高く評価した. 以上, がん性疼痛マネジメントを促進する痛み計の効果が示唆された. Palliat Care Res 2007;2(2):223-230