日本畜産学会報
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技術報告
畜産排水高度処理からの回収資材を活用した堆肥造粒技術
長谷川 輝明田中 康男
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2014 年 85 巻 3 号 p. 351-355

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抄録

畜産排水高度処理から回収した資材を造粒用結着材として,汎用簡易撹拌機を用いて牛糞堆肥を造粒する手法について試験した.結着材には,高度処理試験施設で,養豚排水の活性汚泥処理水からリン酸,色,大腸菌群を低減する用途で添加した非晶質ケイ酸カルシウム水和物(CSH)を回収して使用した.この回収物は,リン酸が吸着したCSHで,粘性を有するスラリーである.原料堆肥には1mm以下に篩分けした2kgの牛糞堆肥(水分31.8%)を用い,コンクリートミキサー(容積140L)に投入した.続いて,回収CSHスラリー0.2Lを5分間隔で逐次添加し,顕著な造粒が生ずるまで撹拌を行った.その結果,回収CSHスラリー添加量1.6Lで,粒径5〜30mmの造粒堆肥が製造できた.また,風乾後の造粒堆肥の強度を硬度計で測定したところ,0.40〜0.78kg/cm2だったことから,ブロードキャスターで散布できる可能性が示唆された.

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© 2014 公益社団法人 日本畜産学会
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