2013 年 84 巻 3 号 p. 319-325
次世代型シーケンサーは短期間での大量シーケンシングを可能にし,一塩基多型(SNPs)の網羅的探索を可能にしたが,大量に検出されたSNPsの多型性をサンガー法で評価することは,莫大な費用がかかり現実的ではない.しかし,リシーケンシングにDNAプールを用いることで,各アリルをカバーする配列データ数からマイナーアリル頻度(MAF)を予測し,その多型性の評価が可能となる.我々は,黒毛和種ゲノム解析に有効なMAFが高いSNPを大量に含むデータベースを作成するために,黒毛和種52頭の全ゲノムリシーケンシングをDNAプールによって行い,予測MAFが0.05以上のSNPsを網羅的に探索した.その結果,反復配列領域外から459万種のSNPsを検出した.DNAプールによる予測MAFは,Bovine HD Chipを用いたSNP型判定で得られたMAFと強い相関を示し,正確に予測できていることが示された.