日本畜産学会報
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育成牛における熱産生量と平均体温に及ぼす歩行運動の影響
安藤 哲大槻 和夫
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1997 年 68 巻 9 号 p. 869-877

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抄録

家畜に対する温熱環境管理を検討する際の指標の一つである平均体温(Tb)について,Tbに及ぼす運動の影響について検討した.平均体重233kgの黒毛和種育成雌牛を4頭供試した.ウシを呼吸試験用ヘッドケージ付きのトレッドミルに収容し,安静時と5段階の歩行速度で歩行させて試験を行った.歩行中に心拍数(HR),熱産生量(HP)およびTbを測定よした.歩行速度が速くなり,単位時間あたりの運動量が増加するにつれ,HR, HPはともに増加し,その後歩行速度を遅くするとHR, HPはともに低下し,各々の歩行速度に対する直線回帰はいずれも有意であった.Tbは,歩行速度が速くなるにつれて上昇し,この区間のTbの歩行速度に対する直線回帰は有意であったが,その後歩行速度を遅くしてもTbは高いまま維持され,なかなか下降しなかった.これは牛体に蓄積された熱がすぐには放熱されないためと考えられ,TbはHRやHPとは異なる反応であることが認められた.

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