日本畜産学会報
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明暗周期の差異が種雌豚の繁殖成績に及ぼす影響
田中 智夫伊藤 香谷田 創吉本 正
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1997 年 68 巻 11 号 p. 1052-1056

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抄録

本実験は,無窓分娩豚舎における光周期が雌豚の繁殖成績に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,4反復合計で355頭の雑種雌豚を用いて,繁殖成績を比較検討した.分娩豚舎は3区に仕切られ,各区の光周期の設定は,明期(照度20-100lux)を08:30-09:00と16:30-17:00,08:30-16:30,08:30-00:30とし,それぞれ1L区,8L区,16L区とした.供試豚は,交配後109日目に分娩豚舎に移され,離乳まで35日間,各照度の下で飼養された.生産子豚頭数,一腹離乳子豚頭数,一腹離乳子豚体重,および発情再帰率は,いずれの区においても正常な値を示し,区間に有意な差は認められなかった.しかし,離乳時における子豚の平均体重は明期の時間が短いほど重くなる傾向が見られ,1L区と16L区の間の差は有意であった(P<0.01).また,発情再帰日数も,明期の時間が短いほど有意に短くなった(P<0.05).行動観察の結果,8L区および16L区に対し,1L区では哺乳時間が有意に長かった(P<0.05).以上から,光周期が雌豚の繁殖成績に影響を及ぼすことが示された.

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