日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
牛における行動開始後の膣温と熱発生量の関係
柏村 文郎古村 圭子新出 陽三
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 65 巻 3 号 p. 277-283

詳細
抄録

行動に伴い変化する膣温と熱発生量との関係を明らかにする目的で,妊娠中のホルスタイン種若雌牛4頭の起立,横臥,採食,反芻および飲水行動と膣温および熱発生量を連続5日間記録し,相互関係を検討した.起立および横臥開始直後の熱発生量は短時間(12-13分)の増加を示した後一定となった.起立および横臥開始前後15分間における熱発生量の変化量はそれぞれ2.14(P<0.05)および-0.29kJ/kg0.75hであったが,膣温は起立開始後に低下し,横臥開始後に上昇した.起立や横臥動作に伴う膣温変化は1日の時間帯により異なり,1800-2400hの間で大きかった.採食開始後,熱発生量は約10分間で急激に増加したが,膣温は約30分間かけて穏やかに上昇した.反芻開始前後15分間で熱発生量は約2.6kJ/kg0.75h上昇したが,膣温は横臥位反芻および起立位反芻ともに上昇はわずかであった.飲水後,熱発生量は短時間の減少を示し,膣温の低下には約20分を,その回復には50分を要した.今回の実験結果は,牛の体温調節には幅があり,その範囲内では行動が熱放散または熱発生量を変化させ,牛の膣温をより複雑に変動させていることを示唆している.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top