日本畜産学会報
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肥育用濃厚飼料および圧ぺん大麦を給与したホルスタイン去勢牛の第一胃発酵と血液性状の日内変動
小原 嘉昭元井 葭子菊池 文也
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1994 年 65 巻 3 号 p. 217-225

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抄録

実験には第一胃フィステルを装着した体重500kgのホルスタイン去勢牛3頭用い,粗飼料多給(R)区,肥育用濃厚飼料10kg給与(C1)区,肥育用濃厚飼料5kg+圧ぺん大麦5kg給与(C2)区,圧ぺん大麦10kg給与(C3)区で,それぞれ3週間飼育した.C1~C3の飼料区では,60cmの長さの稲わら0.6kgを給与した.各飼料区の最終日に第一胃発酵と血液性状の変動を24時間にわたって観察した.第一胃内pHは1日2回の採食に伴って2つのピークを持つ減少パターンを示した.pHの最低値は,R区で約6,C1~C3区で約5であった.逆に総VFA濃度は,1日2回の採食に伴って2つのピークを持つ増加パターンを示した.C1~C3のVFAの変動巾は,R区のそれよりも明らかに大きかった.酢酸/プロピオン酸比は,C1,C2,C3区に於て,それぞれ3.5,2.0,2.5であった.C2,C3区に於ける第一胃アンモニアは,2回の採食に伴って2つのピークを持つ減少パターンを示した.C2,C3区の血漿尿素の変動パターンは第一胃内アンモニアと同様の傾向を示した.C1~C3区に於て,第一胃内乳酸濃度は採食後急激に上昇し,その後直ちに採食前の値に回復した.粗飼料多給区と比べて,濃厚飼料多給区に於ては,血漿グルコース,乳酸,Ht値,ヘモグロビンは増加する傾向を示し,血液pHとHCO3-は減少する傾向を示した.以上述べた結果から,ホルスタイン去勢牛の肥育末期における濃厚飼料多給時の窒素と炭水化物代謝の関連性について,第一胃内恒常性の観点から考察がなされた.

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